13cmウッドコーン DCU-F132W  
                                                       P1


1.世田谷のT.T. 様 (世田谷区在住)

1)はじめに
 今回の 13cm フルレンジスピーカーユニットには大変に驚かされました。
 分解能が高く音源に入っている音全てが聴き分けられる様な気がしてしまいます。
 素晴らしいと思いました。

 実は、速報をユニット到着後直ぐにお送りしようとF132W 以外の部分を全て準備完了状態でしたが、
 使いこなしにてこずり大幅に時間が掛かってしまいました。

 てこずったのは2点で、T114S を1.50uF のコンデンサー一発入りで2way 化したのですが、
 これが上手く行かずハイ上がりで低音量感を打ち消してしまうことと、特定の音源で(中山千尋(P)の
 「Lesson 51」など) 60Hz あたりの低音が洞窟の中で鳴っているような響きが出てしまうことでした。

2)エンクロージャー仕様
 箱は、青パーク推奨箱ではない表面仕上げ付きフェライト 13cm 用の DCK-F131-C を使いました。
 推奨箱は MDF 材自体も剛性が高いモノを使用しているとのことでしたので、この箱は内部補強として
 15mm の丸棒2本をバイオリンの魂柱のように内部の「前後の間」と「左右の間」に噛ませ接着し、
 天板裏には手持ちのシナ合板の端切れを接着し補強しました。

 問題となった2点について、ユニットを 80 時間以上鳴らしっぱなしにしてエージングを行い、
 ハイ上がりはツイーターを逆相接続に変更し、低音の不自然な響きは単2電池3本をインシュレーターとして
 箱下を開けることと、内部の吸音材の調整を行うことで気にならないレベルまでの対策ができました。
 なお、低音響きは部屋の定在波も関係しているかもしれません。

 箱内の吸音材は、付属の化繊を止めて、先づは実験的にクイックルワイパーハンディーの取り替え用
 「ふわふわキャチャー」を一つ切り開き(袋状になっているためです) 背面(ターミナル部) にボンドで
 貼り付けたのですが、このことが吸音材の量の不足となり悪さをしたようです。

 F132W 用箱推奨の A001 ウール吸音材 1/2 とそれと同面積の厚手のミクロンウールを追加したところ、
 低音が圧倒的に良くなりました。


3)試聴条件:
 ・ 音源:PC の foober2000 で CD(リッピング)やハイレゾ各種
 ・ 選曲:クラシック全般、POPS/JPOPS、スタンダード Jazz、フュージョン
 ・ DAC:TEAC UD-501(PC - DAC 間は USB 接続)
 ・ プリメインアンプ:TEAC AX-501(調整時使用、パワー段はデジタル)
 ・ プリアンプ:中華製マランツ7タイプ(試聴時使用、tube はビンテージ品)
 ・ パワーアンプ:スレッショルド SA/3 (試聴時使用、大昔のA級アンプ)
 ・ スピーカー間隔:芯々 1.10 m
 ・ 試聴位置:スピーカーから 2.80m
 ・ 部屋の大きさ: 約8畳(スピーカー側半分に絨毯有り)
 ・ 音量:試聴位置で最大約 85dB(90dB は超えない)
 ・ サブウーファー:JBL L8400P (調整時は OFF、試聴時は ON )


4)サブウーファー設定
 サブウーファー無しでも低音がよく出て、信号としては 40Hzが十分に(しかし聴こえない)60Hz は音圧もかなりあり
 歯切れの良い低音が出ます。そのため、サブウーファーは、最低設定のカットオフ 50Hz としました。


5)試聴結果
 歪みが少ないというのは、きっとこういうことだろうと思うようなクリアーさと分解能の高さ、
 立ち上がりの良さが印象的です。サブウーファー無しだと 40Hz 信号は結構しっかりと出ているのに、
 あまり聴こえない感じないのが不思議で、ウッドコーンは高調波歪みが少なくピュアすぎて「低音の出ている感」
 がないのでは、などと妄想してしまいました。
 (実際は、真空管プリアンプにも重低音不足の原因は有りそうですが、代替えのトランジスタープリアンプの設置が
 労力的に出来ず確認できていません。真空管やデジタルアンプは重低音が弱いと思っています。)

 2Way 化していることもあり、ベールの2枚も3枚も剥がれたようなクリアーな音が素晴らしいです。
 これは、クラシックコンサートの最前列で聴くような感じで、私の最も好きな音です。

 なお、ツイーターを外して調整もしましたが、付けることで分解能と音抜けがさらに良くなるので、
 逆相にしてもまだ幾分低音量感が少ない気がしますが、私の好みはツイーター有りでした。

 昨年の F124W の速報で、『ヴィバルディの四季(イムジチ・アーヨ版)の「秋」を試聴用によく聴きますが、
 今日初めてチンバロムのような楽器の音が入っていることに気付きました
 (入っていることに気付いたので、今後は他のスピーカーでも聴こえると思います)』と書きましたが、
 実は、他のスピーカーでは聴こえませんでした。しかし、F132W では聴こえます。
 PARC Audio さんのユニットは凄いと思います。

 また、今回の試聴時のスピーカー間隔は狭すぎますが、物理的に設置が難しかったので止むを得ずな状態です。


6)F132W の用途
 しばらく使い道に悩んだ結局、ミニシアター予定の液晶TV用(約6畳のフローリング)として
 F124W の後継とすることにしました。シアター予定ですが、まだ AV アンプを購入していないので、
 ステレオです。(サブウーファーは有ります)。
 しかし、ここでは BASS を上げ調整して低音量感を補うことができるので、とても上手くバランスが取れました。

 ここでのスピーカー間隔は、約 130cm、聴取距離は約 160 ? 200cm です。

 BS録画をTV視聴した小澤征爾指揮の 2016 セイジ・オザワ 松本フェスティバルでは、
 最前列かもしかしたら指揮者が聴いている音は「こんな感じでは」という抜け良く、分解能の高い
 ザラッとした弦の音に鳥肌が立ちました。

 アンプにつないだネットワーク音源の PC 出力音も素晴らしく再生します。
 こちらでは、箱下に空間が無いにも関わらず、特定の音源で出た低音の響きは皆無でした。
 なお、PC - アンプ間はアナログ接続でアンプもプアーなため、音源の再現度は試聴時の機器・接続条件よりかなり劣り、
 楽器やボーカルが広がり気味ですが音楽的には些細なことで、安価な再生機材でも聴き劣りしないところも凄いです。

 TV用での音源は試聴条件と同じネットワーク HDD からですが、ハードは古い PC のマザーボード上のサウンド回路からの
 アナログ出力を、安価なアナログコードを通して、入門機の特売品アンプに入れているだけです。
 それにも関わらず、音抜けが良く分解能の高い音が出てくると、オーディオマニアとしては高価格機器やデジタル化・
 ハイレゾ化に対し大いに考えを改めないといけないといけないと感じました(駄耳だからというオチがつきますが)。


7)おわりに
 今は立ち上がりが良すぎて音量がすごく大きい時にたまに音がキツく感じることがあります。
 しかし、昨年の 10cm アルニコ(F124W : 写真 木目箱)は、ずっと使い続けているうちに
 いつの間にか音が柔らかくなり、当初より一層聴き易い音になりました。

 このことを考えると、今たまに感じるキツさは時間とともに取れるのでしょう。
 また、今は少し低音量感不足に感じる部分も「改善されるのでは」と思っています。
 その意味では、この文章はあくまでも速報で、きっともっと良くなると予想しています。