
かなり投稿が遅れてしまいましたが、今回はインナーWダンパー構造によってボイスコイルのセンタリング精度が良くなることで、音質的にどういう効果があるかについてお話ししたいと思います。
この件を理解するために、先ずエッジについて先に基本的な事をお話ししたいと思います。
エッジというパーツは、基本的に下記の3つの機能があります。
1)サスペンションとして
前回お話ししたようにダンパーと共に、ボイスコイルのセンタリングを行っています。
そのため、一般的なシングルダンパーのスピーカーユニットではかなりの剛性(硬さ)が必要となります。耐パワーが要求されるPA用のスピーカーなどでは、かなり硬い(重い)エッジが使われているのは、このためです。
2)振動板の一部として
この点はあまり知られていないのですが、実はエッジは振動板の一部としても結構なエネルギーを出しています。口径にもよりますが、17cmで言えばざっくりでエッジの面積は約36%もあったりします。一見すると振動板に比べてエッジの幅は非常に狭いので、36%もあるというのは少し意外に感じられるかも知れませんね。
いずれにしても、これだけの面積から音が出るということは、このエッジの振動板としての音質というのは無視できないポイントとなります。
パークのユニットが音質的にクセが少ない事で定評のあるブチルゴムを採用しているのも、これが主な理由です。
3)コーン振動板の制振材として
これがエッジの特殊な役割なのですが、エッジは自分自身が振動して音を発生すると同時に、コーン振動板外周部を制振することで、コーンの共振を少し抑える効果もあります。
ブチルゴムのような柔らかい内部損失の大きい素材がよく使われるのは、この点もあります。
さて上記がエッジの機能となりますが、実は上記3点は相反する関係にあります。
つまりしっかり支持をするためには硬いしっかりとした素材が必要ですが、そうすると制振効果が弱くなり、またエッジ固有の嫌な音も出やすくなります。
これがユニット設計でエッジ材の選択でいつも悩む理由なのです。
ここまで読んでなるほどと気づかれた方もいらっしゃるかと思いますが、パークのインナーWダンパーでは前回も説明したように、2枚のダンパーだけでボイスコイルのセンタリングはしっかり出来るので、この悩ましきエッジの設計がかなり自由に出来ます。
つまり上記2)と3)のことだけを考慮して、出来る限り柔らかいエッジを選択でき、結果として非常にクセの無い音質実現が可能となります。
ちなみにこれを説明するために、ソニーの業務用ユニットでこの構造を初採用したモデルの導入時は、スタジオでサウンドエンジニアの目の前でエッジ部をカッターでカットして、エッジが無い状態でもコーンが問題無く振動出来るということを見せてみんなを驚かせたことを懐かしく思い出しました。
さて、ここまでの説明でインナーWダンパーの効果を理解していただけたでしょうか。
ちなみに肝心のユニット開発の方は、順調に進んでおり、何とか年内には発売できるかと考えていますので、是非ご期待いただければと思います。

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