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1.世田谷のT.T. 様 (世田谷区在住)
1)概要
8月からツイーターを載せた7リットル の 18mm パイン集成材の市販箱を準備し、口を開けて待っていました。
箱のバスレフは f0 に近い 65Hz と少し高めで、箱の仕上げはオイルを塗っています。
ツイーターの DCU-T114S は、3.9uF のコンデンサーと抵抗(-2.6dB 程度)を付け、F124W は何もしない方法です。
箱内には水槽用フィルターの吸音材を背面から天面に置く状態で入れました。
30日に到着後簡易な音出し確認を行った後に早速箱に組み付けて音出しをしました。
エージング開始としては結構な音量(3m 離れてピーク音量が 89dB 程度)で 3時間ほど鳴らし、
その後は深夜は音をかなり絞り、昼間は 3m で ピーク80dB 程度で連続運転をしています。
現在、40 時間ほどでの状態で T114S を含めてまだまだエージング不足な状態ですが
(この 10cm ユニットのエッジを指でこする勇気がありません (^^; )、
音の変化も含め速報として感想を書かせて頂きます。
2)試聴条件
設置は常用している JBL J220(自作ネットワークにツイーターをスキャンスピークに交換)の上に載せています。
このため音源位置としては座って聴くには 30cm ほど高い状態となっているのと、
左右間隔が広く(2.3m)壁面背面が近い(20cm 前後)状態です。
部屋の大きさは約8畳で、試聴位置は約3m 離れた場所です。
箱の底面には 100円ショップのフエルト製イスの足用クッションを3点支持の状態で貼って
簡易なインシュレーターとしています
(当初このフエルトなしで JBL の上に直置きしたところ音が変で、応急措置としてこのような状態になっています)。
なお、普段この部屋のピュア系では 30cm のアクティブサブウーハー(カット設定約 80Hz)が入っているのですが、
速報ということで試聴時には随時サブウーハーを外して確認しています。
音源は、PC の foober2000 で CD(リッピング)やハイレゾ各種、アンプは TEAC AX-501 プリメインアンプです。
3)試聴速報
鳴らし始めは硬く分離・分解の良いいかにもモニタースピーカーといった音に感じました。
また、あまりうるさくは無いのに大音量で聴いていると耳の奥に刺さるような感触が有りました。
しかし、時間が経過した現在では刺さりも激減し、音にまろやかと爽やかさが出てきました
(耳に刺さったのが F124W か T114S かは不明ですが、多分 T114S ではないかと想像しています)。
普段聴いている JBL の 20cm 2way より幾分重厚さが少なくアッサリ目な音ですが、
一方で分離・分解が良いため今まで聴こえなかった音が聴こえ(音数が増えました)
音の立ち上がりも良く音に輝きを感じます。
T114S はネットワーク設定を 10kHz -6dB にし F124W は何も付けない方法ですが、
F124W 到着前にツイーターだけで鳴らし iPad の FFT で確認すると思ったように低音域が減衰せず
F124W と上手くつながるかが大いに心配でしたが(マイク特性が不明なので表示されるグラフ自体の信頼性は低いです)、
実際 F124W を取り付け特性を見るととても良い具合で、音も違和感がなく、
抵抗も改変が面倒な決め打ち設定でしたが上手くいき安心しました。
なお、サブウーハーとのマッチングは鳴らし始めはのころは正相接続の方が良い感じでしたが、
エージングが進むと逆相接続の方がマッチするようになりました。
(この部屋の場合、他の多くのスピーカーがサブウーハー逆相設定でマッチします)
また 8cm の F103W と比較すると、明らかに低音が太く 、F103W の場合はスローテンポのジャズで音量を上げた時には
サブウーハーがあってもウッドベースの量感に不足感がありますが、F124W ではサブウーハー無しでもそこそこ量感があり驚きました。
コーンの振幅も F103W は ± 3mm 位は振れているのでは、底突きしてしまうのでは、と思うくらい振れますが、
F124W では振幅が小さくちょっと安心です。
低音は小口径のためサブウーハー無しでは 50Hz 以下の重低音が不足するので、
現在の箱とセッティング(バスレフポートチューニングを含め)では部屋の空気が動くというようなことはありませんが
(このスピーカーはそういった音量で使うものではありませんね)、
女性ボーカルなどはすごく魅力的な音でえもいわれぬ良さがあり、80 年代以前の JBL やタンノイと比べ抜けが良く、
明るく爽やかで明瞭で、多分これが現代的な音なのだろうと感じさせてくれるところがとてもステキです。
また、ユニットの指向性が広いのか試聴位置を移動したり 1m 程度とスピーカーの懐へ入るような場合でも音場感が崩れず、
更に近づくとボーカルが自分の顔の辺りで聴こえるようで「くすぐったいような」ものすごく不思議な感触がありました。
音源に対しては少し敏感で、古い録音(ハイレゾであっても)は古い音がし、新しい録音は新しい音がします。
エージング不足のせいか気のせいかはたまた本質的にそうなのかは分かりませんが、
定位の良さ、分離・分解の良さレンジの広さ(2Way にしているから)も相まって、モニタースピーカーを強く連想してしまいました。
しかし、これはエージングが進むとまた違ってきそうです。
先に書いた音数の多さは多くの楽曲で感じますが、ヴィバルディの四季(イムジチ・アーヨ版)の「秋」を試聴用によく聴きますが、
今日初めてチンバロムのような楽器の音が入っていることに気付きました。
(入っていることに気付いたので、今後は他のスピーカーでも聴こえると思います)
音楽ジャンルに不得意はないようで、クラシック、POPS・JPOPS、スタンダードジャズ、フュージョン、など
自分の聴くジャンルはとても気持ち良く聴けています。
ただ、当初鳴らし始めのころは、少し編成の大きいクラシックで分離が良すぎて厚みが薄く感じることがありましたが、
聴いているうちに音がこなれてきて、さらにサブウーハーを入れると厚みの薄さ感はかなり改善されてきました。
エージングが進むのが楽しみです。
今回試聴している部屋での一番のお気に入りスピーカーは、シアター用に使っている B&W PM1 で、
これをピュア系に切り替え tube プリアンプとスレッショルドのパワーアンプ(A 級 50+50W)で鳴らすと素晴らしい音がします。
この PM1 は 13cm なので、今回の F124W は箱がプアーでかなりのハンディがありますが、
エージングが進むと良い勝負をするのではないかと予想しています。
この速報を書きながら結構な音量で聴いていますが(10月2日お昼ごろ)、
どんどん音がこなれてきているので近い将来の対決がすごく楽しみです。
エージングの連続運転は当分続け、その間 tube アンプを含め手持ちの各種アンプを変えたり他のスピーカーと対決させたりと、
しばらくは音遊びをしたいと思っています。
尚、このスピーカーの今後の使い方は、ダイニングにある TV を使って簡易なシアターを作る予定なので、
そちらへの設置を計画していますが、音遊びが当分続きそうなのでだいぶ先になりそうです。