P5
5. S.N様 (東京都文京区在住)
1) システム仕様
外形は320mmx200mmx230mm(HWD)
容積は9L程度標準箱よりは小さいのですが、13cm用としては普通の大きさと思います。
ユニットはバッフルの中央に付けたスタイルで、バスレフ・ポートは背面です。
ダクトは、フォステクスのP49という、内径49mm、長さ110mmのものを用いました。
計算上のfdは約60Hzです。
ターミナルは、埋込み型・丸形のものです。
全体に、外見と手軽さ優先の構成です。
箱の素材はシナ合板で、東急ハンズで、厚さ15mm、910mmx910mmの板からカットしてもらいました。
板取は、下図のようにシンプルなものです。
仕上げは、オーク色のポアステインに水性ウレタンニスです。
ユニットの取り付けはビスと鬼目ナット、内側の角には三角柱をカットしたもので
補強してありますが、他に補強はしてありません。
iPhoneのアプリ、AudioToolsのReal Time Analyzerで簡単に測定したのが下のグラフです。
低域は63Hzまではしっかりと出ていて、その下の40~50Hzは急降下ですが、いくらかは出ているようです。
高域もしっかり伸びています。(16kHzのピークはマイクの特性のようです。)
物理特性には問題ないようです。
2)使用感
このスピーカーは、2012年の12月から2013年の1月にかけて作ったのですが、
実は音出しをした当初は、いささか失望しました。
もちろん、始めからいい音がするとは思っていなかったのですが、数日鳴らしても、
中高域は何となく付帯音のようなものが感じられ、低音はスカスカの感じでした。
最初は用いていなかったガスケットを取り付け、吸音材を増やしても、中高域はすっきりとしません。
低域は、バスレフのチューニングを変えようとしても、「バスレフポートは、本当に効いているのか?
取り付け位置がまずかったのか?」という感じでした。
鳴らしていても、どうにも楽しくないので、一週間くらいで接続を外して放置してありました。
二月ほど放置してから、思いついて鳴らしてみたら、何故か、今度はすっきりとした音が出てきて驚きました。
通電していた訳ではないので、ユニットのエージングではなくて、箱が落ち着いてきた、ということの様です。
箱は、今でもやや鳴いているようで、もう少し強度のある素材を使うべきかとも感じていますが、
とりあえず、楽しく音楽の聴けるスピーカーになりました。
音の印象は、(金属ドーム・ツイーターのような)解像度指向、繊細さ優先ではなく、
どちらかと言えばマイルドだとは思うのですが、すっきりした音で、いわゆる、音離れのいいタイプと思います。
ピアノなどを聴くと、「音に芯がある」という印象があります。高域に量感がある、と言うのでしょうか、
軽くてしっかりしたパルプ・コーンの個性なのかも知れません。
何はともあれ、8cm級のスピーカーよりはずっと余裕があり、音楽を安心して楽しめるスピーカーと感じます。
もっと良い素材、例えば、バーチ材を使うともう少し良くなるかな、という印象もあり、
機会があれば再挑戦してみたいと思っています。