13cmウッドコーン DCU-F132W  
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5.M.N様(埼玉県在住)

1)経緯
 2017年の私の誕生日にアルニコウッドウーファーDCU-173Wが発表され、
 それを使ったマルチウェイスピーカーの製作を決めました。

 電気の知識が全くないため、ユニトランジェントスピーカー製作の相談をA&Cオーディオ島津様へさせていただき、
 最終的にTW、MID、WF全てアルニコユニットを使った独立エンクロージャー、トリプルワイヤリング方式になりました。

 ※アンプ側はバイアンプで、TW、MID&WFと分割

 エンクロージャーはウォールナット無垢材で、TWがちょうど耳の位置に来るように設計しました。
 TW、MIDボックスは完全密閉で、WFのダクトは低音が自然に聴こえるよう、短めにしています。

 吸音材は超軽量吸音材(羽毛)を使用しています。仕上げはウォールナッツオイルを3回、
 ウォールナッツオイル&蜜蝋の自家製ワックスがけを3回ほどしています。



2)システム構成

 TW: PARC-T11

 MID: DCU-F132W

 WF: DCU-173W



3)感想
 ボックスが独立していることもあり、材料が揃ってから製作に3ヶ月ほどかかり、片チャンネルずつ、
 WF、MID、TWと順に組み立て音出しを行いました。

 それぞれを独立して聴くことはなかったので、WFからも結構ボイスが出ているんだなーとか、
 TWからも結構男性ボーカルが出てるんだなーとか、新鮮な発見がありました。

 片チャンネルでWF→MID→TWと合体していったのですが、WF & MIDで音出しした時に、
 あれ、こんな音しか出ないの?、と焦りました。

 が、TWを合体した途端、優しく力強い、艶やかで煌きをまとった音が天井を突き破るかのように現れました。
 片チャンネルだけで過去所有してきたスピーカーを一瞬で忘却の彼方に追いやってしまうぐらいのインパクトでした。

 しかし、本当の驚きはペアで再生した時でした。
 MID、TWの音は、左右に増えた、という感じで、想像通りでした。

 が、低音は今までスピーカーで経験のしたことがない聴こえ方がしてきました。
 低音がスピーカーから出ているのではなく、部屋全体を満たし、体で感じているかのように聴こえてくるのです。
 このように書くと、部屋中に重低音が響きわたっている、と受け取られるかもしれませんが、
 低音が力強く、かつ、優しく、心地よく部屋を満たし、スピーカーの存在を感じさせないのです。

 このレベルの衝撃を過去うけたのは、20年ほど昔に聴いたB&Wのチューンドフラグシップ機(おそらくNautilus 801)、
 3年前の真空管オーディオフェアで聴いたA&Cオーディオ Recercareに続く、3回目です。

 その2機は大分昔に視聴レベルで聴いた程度なので、比べられませんが、所有してきた中では圧倒的です。

 10年ほど前からPARCウッドコーンユニットの優しい音にはまり、13cmウッド、17cmウッドコアキシャルスピーカーを皮切りに、
 色々とユニットを購入し(個人レベルでは一番多く買っているかも^^;)、
 最終的にA&C ARK-8 & DCU-F101Kの小型でド迫力の音が気に入り、メインスピーカーとしていました。

 ARK-8はサイズからは想像もできない迫力の音がでます。
 大きなスピーカーの前において鳴らせば、頭では分かっていても、大きなスピーカーの方から音が出ているかのような錯覚に陥ります。
 ほとんどの人にとってARK-8はゴールのスピーカーになってもおかしくないレベルだと思います。
 が、このスピーカーを前にすると、どれも箱から音が出ている、というのをどうしても意識させられてしまいます。

 ボックスという閉じられた空間から解き放たれたかのような音は、静寂の中から突然あらわれ、静寂の中へと一瞬で消えていきます。
 ボーカルは、息遣いが感じられるのはもちろん、マイクの向こうで歌っているのが見えるかのようです。
 今まで何度も聴いてきた音が、こんなにも豊かな音をしていたのか、と驚かされました。

 宇多田ヒカルのアルバムでは、心地よさに、現実は忘れ去られ、覚醒と夢の狭間を往き交い、
 ときには歌詞だけではない声に込められた感情までが伝わってきては涙し、
 最後は良質な映画を観終わったかのような心地よくもどこか寂しい余韻を感じました。

 まさしくPARCというの名の面目躍如たるスピーカー、The PARC、と呼ぶべきスピーカーです。



4)その他システム構成情報

 *センタースピーカー
  TW: DCU-T114S
  WF: DCU-F121W
  サイレントダクト

 *サラウンドスピーカー
  ARK-8 + アドオンツィーター
  TW: DCU-T114S
  WF:DCU-F104W

  全スピーカーネットワーク設計・製作: A&Cオーディオ島津様

 *AVアンプ
  YAMAHA DSP-AX863

 *ユニバーサルプレイヤー
  Pioneer DV-610AV


 *その他使用したパーツ

  ・スピーカー端子(DCP-T002)

  ・ウール吸音材(DCP-A001)

  ・X-DAMPERl(ACA-XD01)

  ・スピーカーケーブル(ACA-CA001)

  ・超軽量吸音材

  ・フローティングマウントアダプター

  ・サイレントダクト(チャンバー機構なしバージョン)