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8.R.S 様 (新潟県三条市在住)  追加実験レポート  

 その後日談、番外編のようになってきましたが、煙突のように上部に突き出たスパイラルホーンは
どうも目ざわりなので、箱を逆さにしてホーンを下方に向け、インシュレータの高さも増したら、
ちょうどいい位置加減になりました。これで私の夢がかなった感じです。
フルレンジをブックシェルフ型の箱に入れ、詰まったところのない低音再生が実現できました。

フルレンジのスピーカーの完成品は現在、市販品になく、国産・海外品でも2ウェイが当たり前ですね。
1970年代前半の憧れのスピーカーユニットにジムランのLE8Tがありました。
完成品ではランサー44というドロンコーンのシステムでしたが、地元のジャズ喫茶においてあり印象に残っています。
ジムランの代理店であった山水は格子のネットの箱に入れて完成品として販売していました。

結局、今回のDCU-F171Pユニットを使ったスピーカー工作は、私の若き日のジムランLE8Tへの憧れが、
形となって実現したものでした。フルレンジを使った完成品スピーカーがなぜ市販されていないのだろう。
そんな積もり積った不満がやっとDCU-F171Pで解消されました。
一般にユーザーはフルレンジより2ウェイがいい音がするのだろうと考え、フルレンジのスピーカー完成品は
メーカーとして売りにくいのはわかるが、だからフルレンジは自作マニア向けとして業界では棲み分けてきたが、
これほどのフルレンジのユニットを手にすると、このユニットを使った完成品のスピ−カーを、とつい考えてしまいます。


やっと完成かな、という感じです。自作はいじればどこまでも、ですからこれくらいにしておこうと思います。
フルレンジというと1975年の雑誌にフルレンジ特集がありました。
やはり、私の記憶に間違いなくて、フルレンジは16cmか20cmから入門するといいと書かれています。
16cmといえば、三菱のP-610かパイオニアPE-16、20cmはJBLのLE8Tと決まっていたものです。
だから、私はフルレンジと聞くと30年前にタイムスリップしてしまいます。
LE8Tの入ったランサー44はこの街のジャズ喫茶プリマにありました。ランサー77はオーデイオ喫茶とでもいうのかな。
「リスニングルーム」という店が公民館の前にありました。本当に昔話になってしまいましたが。
音はツイーターのついたランサー77に好印象を持っていました。「オーデイオというものはいいもんだな」と思ったのも、
ランサー77で管楽器の音を聴いてからです。ランサー44は音自体あまりはっきりした印象がありません。
ただ、柳家小三治が山水LE8Tにツイーターを付けてよくオーデイオ雑誌にでていました。
だから、フルレンジで全帯域をカバーするのは無理では思っていたのですが。

そのビンテージでそのまま再現するのでなく、現代的なユニットで再現する。
それが今回は実現できたかなという感じです。
DCU-F171Pというユニットは高域が伸びているので、ツイーターの必要を感じさせません。
難関の低域の再生を、バスレフのボコボコした音でなく、スパイラルホーンでスッキリ低音を逃がしてやったという感じです。
前面に開口部のある、いかにもバックロードの音という感じではなく、サランネットもあって、
バックロードを意識させないという狙いでしたが、狙いどおり2A3シングルで良く鳴っています。
前に使っていたヤマハNS590では7581プシュプルに2A3シングルはかないませんでしたが、
今度は2A3が優勢です。シングルアンプとフルレンジというシンプルなコンビで相性がいいようです。

やっとオーデイオから離れられる(音が気にならなくなり、音楽が聴ける)ところまできました。
渡辺貞夫のLP「アイム オールドファッション」を聴いています。ハードオフで500円でした。
(なぜか邦人ジャズはこの値段、本場のジャズは2000円)
このLPは1976年の録音ですから、、邦人ジャズはこの頃がピークでしょうか。
青春を懐かしんで聴いています。