PARC Audio アルミウーファーについて2

2008年06月17日(火)





こんばんは。

今日はPARC Audio アルミコーンウーファーの続編です。前回、私のアルミコーンについての食わず嫌いのいきさつを少し話しましたが、PARC Audioとして開発をするにあたり、一番念頭にあったのはアルミだからと言って細めの音にならないようにすることでした。実は参考に聴いた他社のアルミコーンで一番気になったのはその辺のところだったのです。ずばり開発のキーワードは、図太い芯のしっかりした音を目指すということです。

これって言うのは簡単ですが、実現するのは結構大変なんです。というのもPARC Audioのような開発予算の少ないメーカーは、そう簡単に自社の金型を起こすわけにはいきません。無理して金型を起こしても、その金型代の償却費は商品にのっかることになり、結局ユーザーの皆さんの負担となってしまうのです。フルレンジモデルのように比較的販売数が見込めるモデルはまだいいのですが、ウーファーの場合は特に厳しいのですね。ソニーであれば先ずはオリジナルの成形型を起こすことから開発がスタートするのですが、今回はだいぶ事情が違います。

そこで先ずは流用できる金型を探すことから開発はスタートしました。国内ベンダーもいろいろあたりましたが、残念ながら良いと思ったものは全てどこかのメーカーの持ち型で使うことは出来ず、中国ベンダーで流用できるものからの選択となりました。ここからが腕の見せ所です。なにぶん金のないところを経験と意欲でカバーしないと・・・・。

まぁ今回ラッキーなことに、流用できる金型でかなりいいものが見つかり、一部抜型だけを起こすことで使うことができるようになりました。先ずは第一関門突破です。使用するアルミ材は中国で生産できる最軽量の限界まで検討したことは言うまでもありませんが、今回私が一番やりたかったのはできるだけ軽くて柔らかいゴムエッジを使うこと。PARC Audioの13cmモデルは現在ウッドコーン(DCU-F131W)ケブラーコーン(DCU-131K2)PPコーン(DCU-F131PP)を含め4モデルありますが、このアルミコーン用のゴムエッジは特別に柔らかい材質も少し違うものを採用しています。形状も微妙~に違うのですが皆さん気がつきましたか? F0の差こそたかが数Hzの差ですが、されど数Hz、数字以上にその音質の差は大きいのです。このエッジを触っていただければ分かりますが、他のモデルのものとは明らかに違いちょっと粘着質でしっとりした感じなんです。このエッジを見つけられた時点で、このモデルはいけるなと直感を持ちました。あとはボイスコイルの線径や、ダンパーとの組合せ、また接着剤の微妙な量の調整等を行いながら音をまとめていくのですが、前にも話したようにスピーカーユニットの構成部品は非常に少ないので接着剤を含め各パーツの影響力が大きいので本当に気が抜けない過程です。

終わってみれば13cmモデルの中では、ウッドコーンについで試作数も最も多かったモデルとなり、仕上がりとしてはかなりイケテル感じになったと思います。その音はと言えば、アルミコーンという金属コーンを使っているにもかかわらず芯の太い骨太な音で、どちらかと言えば良い意味でオーソドックスなバランスとなっています。アルミコーンというイメージから受ける明るい派手な音を期待されている方にはちょっと意外な印象になるかも知れません。ユニット単体の印象で言えば、ケブラーコーン(DCU-131K2)の方が少し明るめの印象かも知れませんね。個人的にもかなり好きなバランスにできたと感じており、金属コーンでもここまでやれるんだぁなんて我ながらちょっとうれしい誤算でした。このモデルを聴いていると、やはり振動板の剛性の良さを感じ、その点では上位モデルのウッドコーンもちょっと安泰ではいられない感じです。

ブログの質問でもありましたが、特性的にはフルレンジでも使えるのではと感じられる方もいらしゃるようです。実際音の印象として、特性で感じるほど高域のピーク感は鋭くなく、お好みにもよりますがフルレンジで十分使えると感じられる方もいらっしゃるかも知れませんね。確かに市販されているフルレンジモデルで、このモデルよりも派手と言うか痛い音を出しているものもあるので、実は私自身もフルレンジとして使うやり方もありかなぁと少し感じ始めています。特性のわりにどうしてそう感じるのか自分でも少し不思議でしたが、おそらく下半身(中低域)がかなりしっかり出るので全体のバランスとしてよく聴けてしまうのかぁと感じています。

でも現在掲載している標準箱がトゥイーターの取付穴が無いのは、別にフルレンジとして使ってくださいなんていう意味深な狙いは決して無いので誤解しないでくださいね。トゥイーター付きの標準箱図面は近日中にupする予定です。

この13cmとほぼ同時に開発が進行していた17cmアルミコーンは、皆さんもご存知のようにちょっとトラブルがあって発売が延期になってしまいましたが、その辺の裏話も次回書いてみたいと思います。では今日はこの辺で。

この記事へのコメント

盛田 2008.6.18

派手
アルミよりケブラーの方が派手なんですか・・

 僕はALR JORDANのENTRY Sを持ってるのですがウーファーはアルミコーンです。そのせいで意外に「派手で明るそうで実は重厚」というイメージを持ってます。(他のアルミコーンを知らないものですから)
 17cmのお話も楽しみにしてます。差し障りのない範囲でどうしてNGになったか伺いたいですね。^^;

PARC 2008.6.18

Unknown
盛田様

ケブラーが派手というのは、アルミに比べて中域が明るめに出るためそう感じるのではと思います。正直アルミはNW無しでも聴いていてそんなに疲れませんが、ケブラーはさすがにスルーだとつらいです。でもNWでちゃんとつないでやると、ほんと上品に鳴らすことができるのです。前回ハイエンドショーでデモしていた六本木工学様のキットモデルがその良い例かと思います。
ALR JORDANは聴いたことがないのでコメントできないのですが、盛田様のコメントだとPARCのものに近いかも知れません。というかうちが後で出してるので、PARCがALR JORDANに近いと言った方が正しいのかも・・・。

盛田 2008.6.18

S
 エントリーS はクラシック用に使おうかと中古を個人から買いました。「気楽にBGMを流すようなSPではないですよ。分厚いです。」と聞いて買ったらホントにその通りでした。元々ブライトな音の好きな僕には(低域は言うこと無しだけど、高域がもう少し欲しいかな)、という点であまり出番が少なくなり・・。で、そんな僕にとって131Wはいいバランスだった訳です。
 ちなみに六本木さんのキットはケブラーもアルミも試聴しました。どちらも高品位でドンシャリをとうの昔に卒業した大人の為のサウンド(ここをご覧の方、地味という訳ではありませんで念の為)だなと思いました。

PARC 2008.6.18

Unknown
盛田様

六本木様のアルミのキットはまだ聴いたことがありません。既に店頭でデモされているのですね。知りませんでした。今度訪問した時に聴かせてもらおうと思います。情報ありがとうございました。

nobu 2008.6.18

Unknown
アルミフルレンジ、是非お願いします!

PARC 2008.6.18

Unknown
nobu様

もう少し小さい口径では、ありかも知れませんね~・・・。

倉田 有大 2008.6.18

Unknown
17cmアルミのお話楽しみにしています。
そういえば、ウーハーの素材ですけど、マグネシウムなんてどうなんでしょうか?

PARC 2008.6.18

Unknown
倉田 様

マグネシウムはウーファー用として考えた場合、コストを除けばアルミより優れていると思います。内部損失も大きく、比重も軽く、本当に良い素材だと思います。ウーファー用なら現在流通している板厚でも問題なく使えますから。

ただ、
そのコストを考えるとかなり話は変わってきます。商品である以上、やはりコストパフォーマンスは非常に重要な項目なので、現状のコストではPARC Audioとして商品化をすることはないかと思いますね。国内の某大手メーカーも最近のシリーズではマグネシウムを止めて代わりにチタンを使っています。部品ベンダーさんの話では、やはりコストメリットがないからというのが最大の理由のようで、設計者の一人としては大きく同意という感じです。

中にはマグネシウムの含有量が少ないのにアルミマグネ合金とかいう曖昧な表現で商品化をしているメーカーも見受けられますが、メーカーの姿勢としてはちょっと疑問を感じます。

倉田 有大 2008.6.20

Unknown
なるほどありがとうございます。
問題はコストですか、でたら高そうですね~

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