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5.Mr. Hippo 様 (横浜市在住)
前回のレポート(No.4)では、“Geniusタイプ”として解像度最優先ではなく、心地良さを重視した音作りのシステムを紹介しました。
第二弾の今回は“Artistタイプ”として、生の音楽のエネルギー感や躍動感、演奏現場の立体音場の再現を重視したシステムのレポートです。
ちょっと異常なくらいのリアリティが出ますが、非常に鋭敏な再現性を持つため、アンプや配線材にも気を使う必要があります。
才能は素晴らしいが、扱いには注意が要るという事で、“Artist”と名付けました。
私としては、今回のArtistタイプの方が本命なのですが、GeniusもArtistもそれぞれ説得力のある仕上がりになったと思います。
両者を比べる事で、皆様の音作りの参考になれば幸いです。
Dream One Artist
1)システム概要
トゥイーター : DCU-T111S
ウーファー : DCU-F131PP
BOX :
フロア型バスレフ(実質容積12L)
吸音材 : DCP-A001
ネットワーク基板:
DCP-NB001
ネットワーク仕様:-12dB/octスロープの2.5kHzクロス (トゥイーターに8.5kHzのディッピング回路を追加)
ネットワーク素子: DCP-L001、Solen製フィルムコンデンサー
システムの詳細仕様は、こちらのレポートに詳しく書かれていますので、参照してください。
また本レポートの詳細はこちらからご覧ください。製作の意図などを含めて、詳しく書かれています。
2)使用システム
・CDプレーヤー
: 特注製作品
・ラインアンプ : 管球式モノラル構成
・パワーアンプ : 管球式モノラル構成、25W*2
・プリメインアンプ
: ONKYO Integra A-925(参考確認のため)
3)感想
PARC製品の音の軽さについては、ピンと来ない方が多いかもしれないと感じているのですが、
結果として得られる異常なほどに鮮明で自然な仮想現実空間と音像定位には、オーディオに関心の無い方に説明抜きで聴かせてさえも、
非常に驚かれた経験が複数あります。
経験的には、仮想現実感に優れたシステムは、自然な音色感、解像力、軽さ感等あらゆる点で優れている総体の上に成り立っていると
思っています。
ですから例えば、椅子に座ってギターを弾いている演奏家の足元に、飲みかけのペットボトルが置いてあるのが見えるかの様な鮮明な
仮想現実感が得られるシステムは、基本的に優秀であると考えて間違いないと思います
このシステムは、「異常な程の仮想現実空間」がちゃんと再現されます。
軽く、太く、エネルギーのある音は、「小型の割には」とか「コストの割には」と言った修飾語とはもはや無縁の世界だと思います。
しかし正直にいえば、T111Sが時々クセを出してしまうのが珠にキズです。そうは言ってもこれ以上の完璧さを求めるのは、
いくらなんでも罰当たりだと思います。
それでも自宅のディナウディオの現用システムには、もはや戻れないだけの魅力感溢れるシステムにまとまったと思います。
ここから追加レポートです。
その後の変更点
完成後4カ月経ち、エージングも進みましたので、PARCサウンド鑑賞会への出品を機会にバランス調整をやり直しました。
低音感を少し強めたくなったのと、煩いのを嫌って抑え気味に調整していた高音に色気不足を感じていたのを解決するためです。
下記に変更点を示します。
(鑑賞会当日は下記の状態で鳴らしました。)
・トゥイーターのレベル調整
-1dBだったのを0dB(アッテネーターなし)に変更しました。
変更値: 「ネットワーク基板のR2をジャンパー線で直結」+「R3を撤去」
・トゥイーターのディッピング回路調整
利きを弱くしました。
変更値: 「逆共振LCと並列の2.2Ωを1.5Ωに変更」
・バスレフポートのチューニング
fobを少し高くして低音感を強くしました。管球アンプで鳴らすと、なかなか豪快な低音です。fobは実測していませんが、
計算上は55Hz位になっていると思います。
変更値: 「塩ビ管75mmを70mmに変更(バッフル厚さ込みで86mm)」
・その他未確認情報
塩ビ管のBox内側開口部の端部外周に、幅2cm *t3mmのソルボセインを巻き付けて接着してみました。
防振効果の有無のお試しだったのですが、期待とは別の現象がおこりました。低音が太くなります。(!?)
開口端の管の肉厚増加に整流効果があって、バスレフの効率が上がるのでしょうか?
ソルボを一旦撤去して確認するべきですが、面倒なので放置しています。
Box内側の開口もラッパ状に仕上げると更に良いかも知れません。