こんばんは。今日はお待ちかねの(?) 「良い音とは」の続編です。と言っても、前回から「私の音の履歴書」的な内容になってはいますが、まぁその辺はそれをお話することでPARC Audioの目指す音の方向も分かるということでお許しください。
さて前回Mさんとの出会いを書かせていただきましたが、Mさんが参加される前にアンプ、回路Gpのメンバーの方たちとの交流の中でおもしろい話があったことを思い出したので、先にそれを書きますね。最近、ほんと物忘れが多いです。(^^;)
実は当時ES事業課という新しい組織が出来て、それまでカテゴリー別に組織を作るのが常識だったソニーで初めて(たぶん)単品コンポーネント製品というくくりで組織を作るという新しい試みだったわけですが、実際いろいろなカテゴリーの設計者が集まった中で正直なところスピーカーGpに対しては結構シビアな視線があったような気がします。当時はアンプは333,555シリーズで絶好調でしたし、CDも開発メーカーとしてソニーの評価はかなり高かったので、それに比べてスピーカーはもっと何とかしないと、というような雰囲気があったのです。もちろん、いい意味でせっかく一緒の組織になったのだから、何とかみんなで協力して良くしていこうという感じもあったのですが。
そんな中で、Mさんが登場するまでの少しの間 I さんというソニーでも有名な回路系エンジニアの方が一時期スピーカーの音造りに参加していただくということになったのです。ちなみにこの I さんは、名器と言われたカセットデッキのK777シリーズや、セパレートCDプレーヤーの草分け的モデルでありCDP-R1、その後はソニーのデジタルアンプ全般と大活躍されている方で、ソニー退職後も御自身の会社を立ち上げデジタルアンプの商品化をされており、高い評価を得られております。(ここまで言えば、もう皆さん名前はお分かりかと思いますが)
でこの I さんが最初よく言われていたことは、スピーカーの連中はちょっと設計の進め方というか音のまとめ方が効率がよくない、ずばり言えばちょっとへたくそなのではということでした。まぁ言われた私自身もまだその時期は少し迷いがあったのも事実でしたし、あれだけの実績のある方が言うのだからやっぱりやり方がまずいのかなぁとも思いながら、 I さんと細かいところまでいろいろと試聴を行っていったのです。実際 I さんとの試聴では今までのスピーカーGpのやり方とは少し違った印象を持つこともあったのですが、数ヶ月ご一緒した後で I さんが私に一言言われたことが
「いやぁ~冨宅さん、スピーカーって本当に難しいねぇ~。俺も端で見ていた時は、スピーカーの連中はなんて非効率なやり方をやってるんだろうって思っていたけど、自分でやってみていかに難しいか本当によく分かったよ。」と。
でよくよくその訳を聞いてみると、 I さんによればアンプやCDプレーヤー等の回路ものを設計する時には、その沢山あるパーツを選んだり回路等を吟味したりする場合、一度確認した結果(方向)は最後まで変わらないそうなのです。だから沢山部品があっても、一度ちゃんと確認しておけば、それで最後までその結論がそのまま使えるらしい(私は経験したことがないので、分かりませんが)のです。 ところが、スピーカーの場合はそれが全く違うのだと。
私にしてみれば、そんなことは当たり前と思っていたので、逆にそのことを I さんが知って驚いていることに驚きました。つまりスピーカーはたかが20点ほどの部品で成り立っていますが、例えば試作段階でAとBとを比較してAが良かったという結論が出たとしても、全体がまとまってきて再度聴くとBが良かったりして、結局最初の試聴の結果が逆転してしまうと・・・。特に吸音材のセッティングや箱の補強等なのではこんなことは日常茶飯事なのですが、 I さんにとっては考えられないことだったようなのです。
でその後は I さんも我々と一緒にずいぶんと汗をかいていただくことになるのですが、私としては正直この時のI さんの言葉でずいぶんと救われた気がします。だってあのI さんだって驚くほどスピーカーは難しいのだから、私ごときが苦労するのは当たり前だと・・・。あせることはないなぁと・・・。 皆さんの中にも、俺ってスピーカーの実力無いかもなんて悩んでいる方がいれば、そんなもん心配する必要は全くないので安心してください。30年以上やってる私でも、未だにいろいろと悩みながらやってますので、はい。逆に私はスピーカーなんて簡単だ、なんて言う方はあまり信用しないことにしています。
肝心の音のことを書くのを忘れてましたが、I さんとの試聴では今までのスピーカーGpでの試聴に比べ特性がどうとか物性の話をすることよりも、音楽的にここがどうというような表現が多かった感じがします。なかなかこれがポイントだと一言で表現するのは難しいのですが、表現がいい意味でより抽象的というか官能的というかそんな感じでしょうか。I さんに言わせれば、そうじゃないよってつっこまれるかも知れませんが。
ただその後、Mさんと数年ご一緒した後に出会ったある方の聴き方はさらに官能的だったのですが、その話は次回また。
え~、また次かよ! なんて言わないでくださいね。
2009年06月29日(月)
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この記事へのコメント
Unknown
Iさん、SD05ですね。
生産終了と聞き、さみしぃ です。
Unknown
せきぐち@舘林様
生産終了なのですか? 知らなかったです。後継機は出ないのですかね?
私にとって良い音
じれったいので(失礼)私の良い音とはを書きます。
私の良い音とは原音に忠実である事。
忠実というのにもいろいろな要素がある訳で、Fレンジ Dレンジの忠実度には、あまり興味が無いです。
私は音の艶を重要視しています、例えば楽器のギターやヴァイオリンまたピアノは世界中で作られていますが、各国で表板、響板の材質は違います、同じトウヒ類ですが、音の艶の順にドイツ松(フィヒテ)アメリカの「スプルース(米松)」、日本の「エゾ松」となります。
私はこの違いが出るシステムが最良と思っています。
かつてはソニーのシステムであればソノシートでもソニーのテープレコーダーでの自宅録音でも、違いが出たのですが、デジタルでは材質による違いを聞いた事がありません、ほとんどの場合無色透明になってしまいます。
シンセサイザーもデジタルシンセが主流になってからはカラフルな音ではなくなり、一部のマニアやプロの間では古いアナログシンセが人気を獲得しています。
ですからアナログ時代とは異なり、デジタル時代では、色付けしたアンプやスピーカーで聴く事が必要になるのですが、そういった意味で最近のKT88等の真空管アンプの人気や、貴社のウッドコーンの出色の出来映えには納得と賞賛の拍手を送りたいと思います。
しかし、本来あるべき姿勢は色付けの無い音ですから、デジタルがアナログを完全に凌駕し、貴社のアルミコーンやケブラーコーンが人気を獲得するのが最善ではないかと思っています。
Unknown
YOIIRO様
>じれったいので(失礼)私の良い音とはを書きます。
すみません、進行が遅くて。(^^;
別にじらしているわけではないのですが、いろいろと思い出すこともあったりして、今回もこんな感じになっちゃいました。次回は、いよいよ本題に突入します。
>私の良い音とは原音に忠実である事。
これは正に本質で、異論を唱える方はいないのではと思います。問題は、それをどういうアプローチで実践するのか。私が言うのも何ですが、スピーカーで本当の原音を100%忠実に再現するのは物理的に無理だと思います。なので、不完全ななかで何を優先するかが非常に重要ではと感じています。
ある方は、分解能であったり、低歪みだったり、ワイドレンジやバランスだという方もいるでしょう。中には全部だと言うかたもいるかも知れません。YOIIRO様の言う音の艶というのもすごく分かります。私のポイントは次回のエントリーでお話したいと思います。
>本来あるべき姿勢は色付けの無い音ですから、
う~ん、これ大きく同意です!
Unknown
連載読んでいます。
よい音とは・・なんでしょうね。
私はとにかく、聞き惚れる音ならいい音ってかんじでしょうか。
TADの下位機種なんてちょっと不思議な音場ですが実にいい音と思いました。
Unknown
倉田様
>私はとにかく、聞き惚れる音ならいい音ってかんじでしょうか。
そうですね、聞き惚れるということは最高の瞬間ではと思います。どのポイントでそうなるかは人によって別だとは思いますが・・。
>TADの下位機種なんてちょっと不思議な音場ですが実にいい音と思いました。
プロ用モデルをやっている時は、いろいろなところで競合させていただきました。本当にすばらしいスピーカーだとは思いますが、私個人はあの方向の音は苦手です。特にホーム用としては。
以前何かの雑誌で、TADの著名なメインエンジニア(現在は独立されていますが)の方が「音は勢いだ!」とおっしゃっていましたが、これはPARC Audioとは対局にあると感じています。
DCU-F101Wのボックス
本題から外れて恐縮ですが、DCU-F101Wのボックス
作り直しを考えています。
推奨ですと2種類ありますが、それぞれの音の傾向を教えて頂けますでしょうか。
また製作上の注意点があれば教えて頂けると助かります。
Unknown
HK様
>推奨ですと2種類ありますが、それぞれの音の傾向を教えて頂けますでしょうか。
F101Wの最大の特徴は、8cmとしてはダントツの低音の充実度ではと思っています。そのため推奨箱の小さい方でも十分低音感は出ますので、せっかく8cmという小型ユニットを使うのですからBOXも小型にした方がそのサイズの小ささのメリットを出すという点で良いのではと思います。
ただし音だけで言えば、当然大きな方が低域のゆとりも増えますし、ゆったりと出る傾向になりますね。
良い音の定義
良い音とはだけでは答えにならない、自分が納得すれば良いと判断すれば良いのではないか、音は好みになってきますから一概に良いとは言えない、良い音の好みは料理の味と同じである。ただし誰が食べてもまずいものはまずい、オーディオはセンスのもんだいである。
Unknown
マニアック様
>良い音とはだけでは答えにならない、自分が納得すれば良いと判断すれば良いのではないか、
正におっしゃるとおりで、私は答えを出すつもりでこのエントリーを書いているわけではありません。私のような凡人に良い音とはこれだなどと断言することなど到底出来るとは思っておりません。私がお話したかったのは、PARC Audioのユニットはこんな考え方をした人間が設計しているということだけをお分かりいただければとのことです。その内容で自分とは違うなぁとお感じになられる方も当然いらっしゃるでしょうし、当然その場合はPARCのユニットは選ばれないのではと思います。
このブログの最初のエントリー(良い音とは1)の最初にこのことを書かせていただいているのですが、一度ご覧いただければ幸いです。
>これは基本ではあるものの非常に重いテーマであり、簡単にこれですよなどと一言で話することは難しいのですが、私がスピーカーにかかわってからの30数年の間で経験したことを少しご紹介しながら、私が音に対してどのような思いでスピーカーを設計するようになったかをお分かりいただければと思います。
良い音(三角形)
(良い音とは1)を読みました、音は三角形、其のとおりですね、音はピラミッドバランスがとても重要です、これが崩れていると音楽が不自然になっています、音の基本はピラミッドバランスからスタートと私は思っています。その先に広がり、奥行、色んな要素があります、音は自然体で鳴らなければなりません、スピーカーの存在感がなくなる音と疲れない音これも重要だと思います。ところで愛知県の刈谷にありますサンバレーをご存じですね、私も利用させて頂いています。キット屋とはお付き合いはあるんですか、
失礼しました
PARC様、サンバレーのホームページに御社のユニットが販売されていました、大変失礼しました、このユニットは正直大変良いユニットですね、オーディオはスピーカーに始まってスピーカーで終わる、だからスピーカーは面白いんじゃないでしょうか、音の三角形とは私が言っているピラミッドバランスと同じですから
これが音決めのスタートですね、音は人なりですから人それぞれの良い音があるはずです。価格が高いは良いとは誰も言えません、ようは鳴らしかしだいですね、
Unknown
マニアック様
>オーディオはスピーカーに始まってスピーカーで終わる、だからスピーカーは面白いんじゃないでしょうか
そうですね。スピーカー屋の私が言うのも何ですが、人間が音として感じる音響エネルギーを最終的に出すのはスピーカーであって、アンプやCD等の他の機器は音響エネルギーではなく電気信号を再生したり増幅したりしているわけですから、影響力が大きいのは当然のように思います。(こんなことを言ったら、アンプ屋さんから怒られそうですが)
理論はそうですけど
確かに理論はその通りです、アンプとスピーカーは夫婦のようなものでどちらが優れていてもおかしいのでは、良いスピーカーならよい音が出るかは疑問、また最高のアンプとスピーカーなら最高の音が出るかも疑問になります、ジャズしか聴かないマニアならJBLかアルテックでしょう、クラシックならタンノイとこれまた定番ですが、その他のスピーカーは駄目とは言えません、自分が惚れたスピーカーならとことん鳴らすべきです、タンノイマニアは特に拘りが強い方が多いですね、私に言わせればあんなユニットのどこがいい
のかと思いますけど、中域の中抜けするスピーカーは使えない、タンノイのユニットはグッドマンが作っていたとは知らずにタンノイマニアはタンノイは最高と美化する、バカバカしい限りである。大変自分の愚痴を投稿してすみません、お詫びします。
Unknown
マニアック様
>自分が惚れたスピーカーならとことん鳴らすべきです
PARC Audioも一人でも多くのユーザーの方にこう言っていただけるよう頑張ります。ご支援よろしくお願いいたします。
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