驚いた!

2012年05月15日(火)

こんばんは。今日はちょっと驚いた話があったので、書いてみますね。

 

現在複数のプロジェクトが進行中ですが、これらのモデルは生産ロットの関係で、新しいベンダーさんとも協議を行っています。

 

実は今までのベンダーでは生産ロットやコストなどいろいろな制約があって、磁気回路部品などのメインパーツは基本的に標準で流れているものを中心に選ぶしかなかったのですが、今回のベンダーさんはこちらで自由に寸法設定ができるという願ってもない状況となり、細かい寸法について打合せをしていました。

 

ユニットを設計する場合、一番基本的な寸法として、ボイスコイル径と磁気ギャップ部の寸法があります。そのためサンプルを作る場合、先ずここを決めていくわけですが、この磁気ギャップというのは非常に重要で、小さ過ぎるとボイスコイルが磁気回路に接触して異音を発生するセンター当りが発生し、また余裕をとって大きくし過ぎると、音質的なダメージが増えることとなるため、どの程度に設定するかは結構ポイントとなります。

 

そこでいつものように計算をして、プレート内径は***にしてくださいと伝えたところ、

「冨宅さん、その寸法だと外ギャップがかなり小さくなるので、センター当りする可能性が高いですよ。」との返信が。

 

あれっ計算間違ったかしらと思い、再度計算してみても結果は同じ。おかしいなぁと思いながら、再度問合せをしたところ、原因が分かりました。

 

計算結果が大きく違っていたのは、計算時にどの程度量産のバラツキ要素を入れるかという点で、今回のベンダーさんの計算では全てのパーツや組立精度が最悪方向にばらついた状態での計算をしており、それは今まで私が経験したことがない程の余裕度でした。まぁ確かに製造として安全度をみたいのは十分分かるのですが、なにもそこまでやらなくてもというのが正直な印象でした。

 

ちなみに私の計算法はV社時代から30年以上ずっと同じものを使っており、少なくとも自分のモデルではギャップに関連したトラブルは無かったので、ある意味実績はあるんだけどなぁ・・・・・。  で、ここまでなら、中国だから仕方がないかぁとも思えるのですが、驚いたのは更に出た次の話。

 

実はこの話をしていたベテランエンジニアの方は、皆さんもよくご存知の日本の大手スピーカーメーカーにいた経験があり、そこでの設計基準は今日聞いたものより更に何割も大きい というもの。ええっ、**社はそんなにギャップがガバなんですか!!

 

正直これを聞いて、驚くとともに、ちょっと納得しちゃいました。なるほどなぁ、こんなガバガバギャップで量産設計しているから、不良は出ないだろうけど、音はあんな感じになっちゃうんだなぁと。ソニー時代もあまりここのユニットは使わなかったのも、そんなこともあったのかも知れません。ちなみにヨーロッパのユニットなどは手作りに近い作り方をするのが多いので、一般的にギャップは小さいものが多いように感じます。

 

まぁうちのようなたかだか数百個レベルのものと、何万個の量産設計では、歩留まりに対しての優先度が大きく違うことは理解できますが、それにしてもちょっとなぁと言うのが正直なところ。まぁ今回のモデルでは、数量も少ないこともあるので、今後出来るだけギャップをつめるように協議していこうと思いますが、30年も設計していて今更こんな話があったというのはほんとスピーカーって怖いです。(^^;

 

この記事へのコメント

GX333+25 2012.5.15

PARC 様

 ユーザーの側からすれば、スピーカーユニットの奥深く、まず絶対に手を触れるどころか、見ることさえないところのお話ですから、正直なところ「ふぅ~ん」というだけのお話なのですが、生産現場では性能と歩留まり、ひいては「コスト」→価格という無視できない問題なのですね。もちろん「価格」となった時点でユーザーにも影響は出てきますが、普通「どうして同じようなスペックのユニットなのに、こんなに値段が違うんだろう」という程度の感覚にしかなりません。

 ギャップの間隔で大きく影響してくるカタログスペックといえば、磁束密度でしたっけ? そういえば、以前はスピーカーのカタログには磁束密度が○○マクスウェルとか載っていましたが、最近のでは見かけませんね。かつてのカタログが、過剰なほどスペックの数値を並べて自社製品の優位性を誇っていたところがありましたから、その反動かもしれませんが、逆に「なぜ、そんな数値が必要なの? どんな意味があるの?」という糸口もなくなってしまっているような気もします。

 そんな「糸口」なんかどうでもよい、良い音さえ出ればいいんだから、と言われればそれまでですが、「さぁ良い音でしょ、だからこれだけのお値段なんですよ」だけでも、ちょっとなぁ、というのは私の個人的な感想です。

parc 2012.5.15

GX333+25様

>以前はスピーカーのカタログには磁束密度が○○マクスウェルとか載っていましたが、最近のでは見かけませんね。

磁束密度はユニットの力の根源のようなものなので確かに大事ですが、磁束密度が同じなら音も同じかと言うとそれも違い、同じ磁束密度ならやはりギャップは小さい方が音はいいので、スペックだけで音を判断するのは難しいですね。

GX333+25 2012.5.15

PARC 様

チャットみたいになるのは避けよう、と思ってはいるのですが……では、ギャップが小さい方が音はいい、と言っても、同じサイズのギャップでも、また別の要素(「あちら立てればこちら立たず」)が絡んできて、音はやっぱり違ってくる、そういうものなんでしょうね、これまでの代表のお話を伺っていると。

 それを「どうしてだろう」とユーザーも考えなくなっている。結果「さぁ、マグネシウムを使いましたよ、エンクロージュアは天然板ですよ、音が悪いわけないでしょ。で、○○円です。オトクでしょう?」という商売が、良心的にものを作ってこつこつと販売しようとしている人を圧迫している……ショップやメーカーの宣伝は相変わらず賑やかですが、時としてそんな気持ちが襲ってくるんですよね。

――最近では、目の前のPARCの音がしっかりすり込まれたのか、それとも代表の懇切丁寧で筋の通った御説明で納得しているせいか、どこに行って試聴を奨められても、PARCのシステム比でこのあたりの出音がこう、ここらへんが今ひとつ、ってショップで考え込んでいる自分に気づくことが本当に増えました。

 ちょっとまずいかな?(笑)

| 2012.5.16

磁束密度は、電磁制動なんかと関係してくるのでしたっけ。
ギャップと音質、スピーカーの組み立て工程なんて詳しく解説してくださると興味深い話題がチラチラしていますね。
そんなお話も聞けると面白そうです。

parc 2012.5.16

GX333+25様

>「さぁ、マグネシウムを使いましたよ、エンクロージュアは天然板ですよ、音が悪いわけないでしょ。で、○○円です。オトクでしょう?」という商売が、良心的にものを作ってこつこつと販売しようとしている人を圧迫している・・・

たしかにマグネシウムなどの新素材は、名前だけで高そうで、良い音がして当たり前と思う方も多いかも知れませんね。アルミ素材のTWというだけで単純に安物と決め付けて、ユニット価格が高い価格では買えないというようなことを書かれているのをどこかで見たこともありますが、こういう表現を見ると本当に悲しくなりますね。(実際は、T11のアルミは非常に特殊なので、決して安くはないのですが・・・・)

parc 2012.5.16

| 様

>磁束密度は、電磁制動なんかと関係してくるのでしたっけ。

はいその通りです。基本的には磁束密度が高いほど電磁制動は強くなるので、ダンピングのいい音になりますが、やり過ぎると制動が効き過ぎてハイミッドになったりします。(^^;

>ギャップと音質、スピーカーの組み立て工程なんて詳しく解説してくださると興味深い話題がチラチラしていますね。

ギャップと音質および磁束密度の関係は、経験的にはいろいろやりましたが、なかなか体系的に説明するのはしんどいですねぇ。

ただ一つ言えることは、ギャップを広くして音質的にいいことは何も無いと思います。もしマグネットの関係で磁束が高すぎて過制動になっている場合は、私なら迷わずマグネットを小さくします。(予算があれば、プレートにスリットを入れて、磁束を落とすと同時に、電流歪み対策をするという手もありますね)

匿名 2012.5.20

Parc様

スピーカーユニットについて色々と調べていると磁気キャップへ流体磁性を注入してセンタリングを保持し、
ダンパーを取り除いてしまうという改造方法を見つけました。
あるスピーカーメーカーではセンタリングに流体磁性を使うことにより生産歩留まりも向上したという事もあったそうですが…
実際、このような手法でセンターを保持したりダンパーをユニットから排除した場合、どのようなメリットやデメリットが考えられるのでしょうか?

大変不躾な質問と重々承知してますが、エンジニア様の意見を聞きたく勝手ながら質問させていただきした。
よろしくお願い致します。

parc 2012.5.20

>磁気キャップへ流体磁性を注入してセンタリングを保持し、ダンパーを取り除いてしまうという改造方法を見つけました。

ダンパーが付いているということは、TWではない可能性が高いと思いますが、TW以外で上記のような改造は非常に非現実的なので、あまりお勧めできません。というか、ユニットを壊す可能性が大です。

>センタリングに流体磁性を使うことにより生産歩留まりも向上したという事もあったそうですが…

それは事実です。ヨーロッパのドームTWなどは、磁性流体を入れて、治具無しで組立ているモデルもあったりします。(ただし、これもTWの話ですが)

>このような手法でセンターを保持したりダンパーをユニットから排除した場合、どのようなメリットやデメリットが考えられるのでしょうか?

これはちょっとコメント欄で説明するには重い話なので、次回のブログで説明をさせていただきます。

匿名 2012.5.22

parc様

素っ頓狂な質問に返答頂き本当にありがとうございます。
次回のブログ更新まで首を長くしてお待ちします。

parc 2012.5.22

>次回のブログ更新まで首を長くしてお待ちします。

了解しました。今週中には何とかupしたいと思います。(^^;

PS:返信の際お名前がないとやりにくいので、ニックネームで結構ですので、出切れば何かお名前欄にご記入いただけると助かります。

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