パッキン材の貼り付きについて

2011年05月23日(月)

こんばんは。今日は少し実用的な話をしたいと思います。

先日ユーザーの方から下記のようなメールをいただきました。

 

当方、昨年の販売と同時にDCU-C171PP +17cmスピーカーBOX組立キットの組合せで使用しております。音に関しては、非常に満足しておりますが、一つ解決出来ない問題あり困っておりますのでご教授いただけないでしょうか。宜しくお願いいたします。

●使用状況

取りあえず安定するまでは仮組みと考えていたので、BOXに塗装(ニス)し、ユニットを取り付け、後日、調整がきくようにとネットワークは、外に出し、ポートの長さ調整もでるようにと思っていたのですが、実際にはユニットとBOXが癒着してしまい、取り外しがかなり難しい状態になってしまいました。強引ではありましたが、どうにか-ドライバーを使って取り外すことができましたが、BOXにキズがついてしまい、その後はBOX本体を調整するのが怖くなり、もっぱらネットワークの組合せを変更するだけで1年がたちました。音も落ち着いてきたようなので、若干BOX本体に手を加えたいと考えておりますが、件の問題があるので躊躇しております。コルク材をサイズをあわせて円カットし貼り付けも考えております(用意済み)が、他に解決方法があればとメールしました。

 

このようなBOXとユニット用のパッキン材(ユニット本体ではありません)の貼り付きはたまに起こりますが、原因は大きく2つに分かれます。

 

1)BOXの塗装が十分乾燥(硬化)していないために起こる場合

 これはよくあるケースで、今回のケースもどうも原因はこれのようでした。

 

2)パッキン材そのものが、経時変化によりBOXに対して貼り付く場合

 これはコルクなど一部のパッキン材に起こる現象ですが、PARCが標準で添付しているものはかなり起こりにくいものを採用しています。最も貼り付きが起こりにくい材料は紙です。絶対に貼り付きを避けたい場合は、パッキン材を紙製に変えることをお勧めします。逆にコルクは、最終的にかなりの確率で発生しますので、あまりお勧めしません。

 

で実際にこれが発生した場合の対応には下記のような方法がありますが、いずれの場合も先ず作業をする前にユニットを取り付けているネジを2個対角上に残して、後は全て外します。そして、残した2個のネジを5mmくらい緩めてください。これは下記の方法でユニットが外れた時に、勢い余ってユニットが落っこちることを避けるための安全策です。

 

1)裏板が外れる場合や、ダクト径が大きく手が入る場合などは、プラスティックハンマー等を箱の内部に入れて、ユニットの底面を軽くたたいて、ユニットを押し出します。背面のスピーカー端子が大きい場合は、それを外してその穴から木の棒を入れて軽くユニットを押すという手もあります。

この方法が一番安全で確実なので、先ずはこれをトライしてみてください。

 

2)上記方法が不可の場合は、少しユニットに傷が付くリスクはありますが、ネジを外したフレームの取り付け穴部に穴径より少し細いLレンチの短い方を斜めに差込み、長い方をテコの原理で曲げるようにして、ユニットを持ち上げます。これはコツはいりますが、慣れると意外に簡単に外れることがあります。

 

3)上記よりも更にリスクは高いですが、フレーム外周部に少しガムテープなどを巻き、そこに木の棒などをあてて、それをハンマーで軽くたたいてユニットを動かすという方法です。これはうまくやらないと、フレームに傷が付きますので、あまりお勧めではありませんが、一応緊急策ということでご理解ください。ちなみに、鉄板フレームや、バッフルにザグリ加工があってフレーム外周が出ていない場合はこれは使えません。

 

4)ユニットには少し傷が付きますが、BOXだけは出来るだけ無傷で外したいという場合は、ネジを外した取り付け部の穴に、穴径より一回り太い径のタップを切って、そのネジ穴にネジを入れておいて、そのネジを持って外すという裏技がありますが、これはかなり高度な技術が要求されるので、一般のユーザーにはお勧めしません。

ちなみにソニーの昔のユニットでは、あらかじめフレームの取り付け穴に、この取り外し用のタップが最初から付けてあるモデルもありました。

 

5)おまけ編として、バッフルに最初からユニット外しのためにドライバーの先などを入れるための差込口(隙間)を加工しておく方法もあります。ソニーの業務用などで、音質上で意図的にコルクのパッキンを使ったモデルでは、この方法をとっていました。

 

次回は、そのパッキン材について少し話をしたいと思います。

 

 

 

 

 




いてその対処法などが

この記事へのコメント

Y.Y 2011.5.24

私は、ユニット取付の際にパッキンを使用していないため、ユニットがボックスに張り付いてしまい外すのに苦労したことがあります。
結局、ハンマーのグリップ(ゴム製)部分でユニット背面をたたいて外しました。
ただ、その場合ユニットを壊してしまうのではとヒヤヒヤしながらの作業となり次回から対策をしなければと思っていたところです。
紙であれば手軽に加工できますので、今度試してみようとおもいます。

らーめん親父 2011.5.25

こんにちは。
BOX製作の話が出てきたので、しゃしゃり出てきました(笑)
Y.Y様はじめまして。
ユニットが張り付く?、と思いY.Y様のユザーリポート見ました。
バッフル面の塗料は、水性ですね。ニス系、私も何度も経験あります。水性ニスの多重塗りは、なかなか、固まらないので、ユニットの取外しが張り付いて取れなく困ったことあります。
ガスケットがBOXと一体化します。
1年ぐらい放置すると硬化します(確か8回塗り)
苦い経験から、塗料に水性はやめました。
施工する環境に寄りますが、油性にした方が無難です。
ラッカースプレーのエナメル系もXです。
7年前に多重塗りした板、未だに硬化してません。
確か20回以上塗ったと思います。記念にしまって
あります(笑)

BOX仕上げ塗装の失敗談でした。
お邪魔しました。

GX333+25 2011.5.26

PARC 様

>最も貼り付きが起こりにくい材料は紙です。

 紙の種類によって、起こりにくさに差はあるんでしょうか? たとえば、やっぱり伝統の和紙がよろしい、とか、厚みはこれくらいが良い(まさか、段ボール紙使ったりはしませんが)とか。

 合成樹脂を含浸したのは、よくなさそうですね。

parc 2011.5.28

Y.Y様

コメントが遅れまして、本当に申し訳ありません。うっかりコメントを見逃しておりました。(^^;

>ユニットがボックスに張り付いてしまい外すのに苦労したことがあります。

パッキン無しでBOXに貼り付いたとしたら、それはBOX側の塗装の問題かと思いますが、その場合は対策としてユニットのフレーム取り付け面に赤ちゃん用のベビーパウダーを薄く塗っておくという方法が効くかも知れません。

>紙であれば手軽に加工できますので、今度試してみようとおもいます。

パッキン無しで貼り付く場合は、紙でもおそらく同じかと思いますが、紙の場合はそれ自体が破れて剥れるので、少しましかも知れません。

parc 2011.5.28

らーめん親父様

フォローありがとうございました。皆さんいろいろ経験されているのですね。でも音のいいのは一般的に乾燥が遅かったりするので、困ったものです。

parc 2011.5.28

GX333+25様

>紙の種類によって、起こりにくさに差はあるんでしょうか? 

一般に紙でパッキンに使う場合は、硬質紙という非常に硬いものを使うのですが、これの場合は貼り付きは非常に少ないと思います。ただ、前述のように、塗料が完全に硬化していない場合は、基本的にはみんな同じだと思います。やはり基本は、塗料自体は完全に硬化しているということになりますね。コルクなどは、塗料が無くても貼り付きは起こるので、別の話ですが。

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